1問で2度おいしい

この記事はペンシルパズルAI Advent Calender 2019 第15日目の記事です。

 

adventar.org

 

 はじめに

面白いパズルを作りたい!!

 そう思ったことはありませんか? 僕はいつも思っています。商業誌やネットにあがっている問題を解くと、感心するほどよくできた問題に出くわします。僕も昔は同じように面白いパズルを作ろうと思っても実力が足りず、物凄く簡単な問題か、仮定を重ねるヤバい問題しか作れませんでした。今なら少しはまともな問題も作れるようにはなってきたとは思いますが……作れてるよね?

 それはさておき、好きこそ物の上手なれの精神でパズルを解いたり作ったりしていたある日、転機が訪れます。裏ましゅとの出会いです。1つの問題で2問分の価値があることに感銘を受け、自分でもいくつか作るようになりました。そのうち裏ましゅだけでなく、2種類のルールで解ける問題も作るようになって、昨年にはオンライン大会を開催するほどこのジャンルにハマってしまいました。自分語りはこれくらいにしておいて、本記事ではダブルミーニングを含めたいくつかのパズルを自作問題を交えて紹介していこうと思います。

2種類で成立するパズル

 まずは、○○でも解けるというタイプのパズルです。デュアルと呼んでいる人もいますが、個人的にはダブルミーニングという名前が気に入っているので、この記事ではこの名称で通そうと思います。美術館とシャカシャカの両方で成立しているパズルはたまに見かけますね。とりあえず新作を1問(2問?)おいておきます。見た目と美術館の手筋を重視した結果、シャカシャカが後半試行錯誤寄りになってしまいました。

美術館 or シャカシャカ

f:id:simorin_puzzle:20190611223155p:plain

美術館 (★2)

https://puzz.link/p?akari/10/10/.nbjcjbjblbj.ldj.n.ldjcjbla

シャカシャカ (★3)

https://puzz.link/p?shakashaka/10/10/.nbjcjbjblbj.ldj.n.ldjcjbla

 

 このようにダブルミーニングパズルは1問で2問分楽しめるお得感のあるパズルですが、パズルの種類によって作り方や作成難易度が大きく変わります。そこで、僕の主観で3つにタイプ分けしてみました。

(1) お手頃系

 ヒントの制約がほとんどなく、簡単に問題を作れるタイプです。盤面を2つ用意し、ヒントを追加しながら2盤面を解いていくと完成します。美術館orシャカシャカはこのタイプに分類されます。同じようにヒント制約がゆるゆるなパズルを組み合わせて作ってみました。

Pentomino Areas or Star Battle

f:id:simorin_puzzle:20191214220214p:plain

Pentomino Areas (★1)

ルール:各領域にペントミノを1つずつ配置する。同じ形のペントミノは1つまで。ペントミノ同士はタテヨコナナメに接しない。

http://bit.ly/371QlA1

Star Battle (★2)

https://puzz.link/p?starbattle/12/12/2/2810h69svif4120igookak90h40070toar901s9001g8840ijfp6vg

 

こんな感じにふざけた問題から、先ほどの美術館のように凝った問題までいろいろと作ることができます。おすすめです。

 

(2) 試行錯誤系

 お手頃系よりもヒント制約が大きく、解空間をただようことで盤面を成立させられるタイプです。苦労の割に問題の質があまり高くならないため、あまりお勧めしません。とりあえず2種類用意してみました。1つ目はましゅor四角に切れです。

ましゅ or 四角に切れ

f:id:simorin_puzzle:20191214231624p:plain

ましゅ (★1)  四角に切れ (★2)

http://bit.ly/2SgAHg6

URLは共通(penpa-editor)です。

 

 つづいてビルディングパズルorDoppel Blockです。こちらは奇跡的に良い問題ができたので是非解いてみてください。

 ビルディングパズル or Doppel Block

f:id:simorin_puzzle:20191214224026p:plain

ビルディングパズル (★3)

https://puzz.link/p?building/6/6/i5g2l22g625l

Doppel Block (★2)

ルール:各行各列に1~4を1つずつと黒マスを2つ入れる。盤面の外側の数字は、黒マスに挟まれた数字の和を表す。

http://bit.ly/2rgLvj7


 いくつか作ってみた感じ、入り口にネタを仕込みつつ成立するものを探すと良い問題を上手く作れそうです。

 

(3) お祈り系

 パズルの相性が悪い、あるいはヒントの制約が恐ろしく大きいなどの理由から2盤面を同時に作ることができず、一方を成立させたときにもう一方も成立していることを祈るしかないタイプです。ぬりかべorナンバーリンクがこのタイプに分類されます。過去に作ったぬりかべorナンバーリンクの問題はすべて、唯一解のナンバーリンクを作成したのちにn!通りを片っ端からソルバーに投げてぬりかべも唯一解になるものを探していました。
このタイプを作るのに必要なものは運と執念です。

 

簡単な操作で別の問題になるパズル

 次に紹介するのは、何らかの操作によって別の問題に変わるものです。一つ例を挙げると裏ましゅがそうです。これは白丸と黒丸を反転することで別の問題が成立しています。

 とりあえず新作をどうぞ。

(裏)ましゅ

f:id:simorin_puzzle:20191214231136p:plain

https://puzz.link/p?mashu/10/10/010330902026033050220130300i220600

 

 簡単な操作といえば回転があります。今回は作っていませんが、修学旅行の夜、ドッスンフワリ、ストストーンといったパズルには向きが存在するため、回転させても成立する問題を作るのも面白そうです。過去に開催したUTPCというパズル大会の「さかさま」ラウンドでは、次の問題を出題しました。時間を測定してフルの問題セットを解きたい人へのネタバレ防止のため、画像は載せずに問題リンクだけ記します。
問題A

http://bit.ly/2PkKTlB

問題B

http://bit.ly/2LQW5nW

 

 こちらは一週間前にふと思いついたアイディアを実装したエンドサムです。対角線を軸に反転させることで別の問題に変わります。

f:id:simorin_puzzle:20191214235424p:plain

ルール:各行各列に指定された数字を一つずつ入れる。外側にある数字は、その行(列)の一番手前にある数字のカタマリの和を表す。

左 (★1)

http://bit.ly/35KQpE5

右 (★2)

http://bit.ly/2ZaNIsZ

 

 また、1年程前に「±N」というタイトルで没コンテストの問題をtwitterで出題しました。これも簡単な操作で別の問題が出来上がる例の1つです。

drive.google.com

 

解くと新しい問題になるパズル

 いわゆるリレー系のパズルです。過去にTwitterで出題したものを2つ載せます。

 

 

  これも過去作ですが、四角に切れへやわけ のように繋げることもできます。

drive.google.com

 

おわりに

 1問で2度おいしいをテーマに3つのジャンルを紹介しましたが、作ってみたくなってきていませんか? 

そんな人は是非挑戦してみてください。仲間が増えると嬉しいです。