1.カナオレ(解説編)
これは「1.カナオレ(問題編)」の想定解法を書いた解説記事です。まだ読んでいない方は、そちらを先に読んでください。
さて、この問題はどうしたら解けるのでしょうか? とりあえず、埋まるところまで埋めてみましょう。
何も進みませんね。まあ、「古都奈良の文化財」と「古都京都の文化財」の唯一解性を考えればいくらか進めることができますが、ここでは使わずに解こうと思います。それでは解説を始めます。
前準備
まず初めに、この問題を解くのに必要な情報を整理します。
単語は全部で18コあり、文字数を合計すると128文字となります。一方、マス目は101マスであるため、延べ27文字を共有する必要があります。また、共有可能な文字数は以下の表のとおりで合計29文字であるため、共有しない2文字を見極める必要があります。
共有しない文字の絞り込み
次の5つの単語に注目してみましょう。
「法隆寺地域の仏教建造物」
「日光の社寺」
「厳島神社」
「白神山地」
「白川郷五箇山の合掌造り集落」
寺、社、神、地の4文字でループを形成していますが、偶奇の問題でこれら4文字を同時に共有させることができません。したがって、寺、社、神、地のうちの少なくとも一つは共有しないと分かります。・・・(1)
また、寺、社、神、白の4文字について、こちらは偶奇においては問題なく共有できるように見えますが、盤面を見てみると距離が離れていて届かないため、これら4文字を同時に共有することができません。したがって、寺、社、神、白のうちの少なくとも一つは共有しないとわかります。・・・(2)
ここで、白について場合分けをしてみましょう。
白を共有しなかった場合、(1)より寺、社、神、地のどれかが2個目の共有しない文字であると分かります。
白を共有した場合、「法隆寺地域の仏教建造物」と「白神山地」の偶奇がずれるため、地を共有することができません。さらに(2)より寺、社、神、白のどれかが2個目の共有しない文字であると分かります。
したがって、寺、社、神、白、地のうち2つが共有せず、他の文字は必ず共有すると分かります。
共有しない文字の確定
ここまでに分かったことから単語の偶奇について考えてみましょう。まず、「屋久島」「厳島神社」「原爆ドーム」「古都京都の文化財」の4つの偶奇が分かります。また、先ほどの議論から社と寺を同時に共有しないことは有り得ないため、「日光の社寺」の偶奇も決まります。
さらに、 盤面を市松模様に塗ったときに、白が50マス、灰色が51マスであることに注意して共有する文字をカウントしていくと、残りの単語の偶奇も確定します。
その結果、白または社と地の2つが共有しない文字となります。
次は「厳島神社」に注目してみましょう。
島は「屋久島」「小笠原諸島」と共有しているため、島の周囲4マスは厳、神、久、諸で埋まります。神は「白神山地」と共有しているため、神の周囲4マスは社、島、白、山となります。さらに、山は「富士山」「紀伊山地の霊場と参詣道」と共有し、山の周囲4マスは神、地、士、伊となるため、下の図のようになり社を「日光の社寺」と共有できなくなります。
以上から共有しない2文字は社と地であると確定します。
盤面を埋める
ここからは先は盤面を埋めるだけです。
先ほども説明したように、島、神、山は連続し、それぞれ周囲に入る文字が決まっていることと、「小笠原諸島」や「白川郷五箇山の合掌造り集落」と連結することを踏まえると、いくつかのマスが決まります。
続いて「石見銀山遺跡とその文化的景観」は、「白川郷五箇山の合掌造り集落」と山を共有し、「古都奈良の文化財」や「古都京都の文化財」と文化を共有しないといけないため、山の位置が決まり、「白川郷五箇山の合掌造り集落」が確定します。さらに「厳島神社」や「屋久島」が埋まり、左上のスペースに「原爆ドーム」が入ります。
ここで、「白川郷五箇山の合掌造り集落」がのを共有できないことが明らかになったので、3つあるの文化を共有しあうことが確定します。デッドスペースができないような埋め方を考えると一意に定まります。
右にできたスペースに入る可能性があるのは建造物と遺産群ですが、前者は「日光の社寺」と「琉球王国のグスク及び関連遺産群」がのを共有することができなくなるため有り得ません。したがって、ここには遺産群が入り、「琉球王国のグスク及び関連遺産群」が姫路城の右上を通過すると分かります。
「日光の社寺」が「法隆寺地域の仏教建造物」と寺を、「琉球王国のグスク及び関連遺産群」とのを共有するため、これらの単語が確定し、上側が埋まります。
ここまで来たら、最後は気合で埋めてください。これで完成です。
以上、想定解法でした。普通のカナオレのように全ヒントを開示するよりも面白い問題になったと思います。同じく面白いと思っていただけたら幸いです。